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デッサウバウハウスミュージアム

ドイツ旅行記 6

バウハウスの校舎からデッサウ駅を挟んで反対側にミュージアムがあります。チケットは9€、1階はミュージアムショップとカフェ、2階が展示室です。専用の部屋でワークショップが開催されることもあります。展示室ではバウハウスの教育プログラムの中で制作された作品を見ることができます。実験的な衣装、光を投影する装置、立体造形、色面構成、ポスター、家具、テキスタイルなど。いわゆるデザイン演習の課題はもちろん、指導者たちのデザインした製品もあり、ものすごい物量です。

そのうち、手描きのタイポグラフィなどのグラフィックデザインの演習作品は特に、自分たちが学生の頃に取り組んだものとよく似ていました。ああ、本当にデザイン教育の元祖がここにあって、我々もその知恵を授かって育ったのかと感慨深く思いました。

しかしショックだったのは、かつて教科書で見た平面構成の作品の一部が立体だったことです。キャンバスから半球と針金が出ています。正面からきちっと撮影された写真ではその構造が読み取れませんでした。

展示室ではデザインを専攻しているであろう(おそらく欧州の)学生が何人も、熱心に作品を見たり、英語や独語のガイダンスを聞いています。大抵のものはインターネットで調べられるし、見ることができる時代ですが、実物を直接見ることの重要性を感じると同時に、地域による経験機会の格差を突きつけられました。

1階のカフェでは、広々とした空間でバウハウスらしいプロダクトと共に飲み物やケーキをいただくことができます。素敵なキッズスペース付きです。為替はさておき、他のお店に比べて良心的なお値段でした。
ミュージアムショップには魅力的なものがたくさんあります。バウハウスに関する書籍はもちろん、バウハウス的なもの色々、という感じのセレクトです。書籍は買いすぎると渡航時にスーツケースの重量がオーバーするのと、日本でも入手可能である可能性が高いので慎重に選びます。電気製品もバッテリーが入っていると預け荷物に入れられないのでNGです。長時間吟味し、デザインサンプルとして「これは!」と思うものをいくつか調達しました。

ちなみに、ミュージアムやバウハウス校舎、マスターズハウスなど各所のチケットは9€ですが、2箇所目以降は6€ずつセット購入できるのと、全箇所まとめて25€というチケットもあります。


畔柳

Category 海外旅

バウハウスの校舎

ドイツ旅行記 5

ベルリン国際空港から電車を乗継ぎ2時間半、デッサウのバウハウスへ行きました。

駅から歩いて行くと、先に旧学生寮が見え、その向こうがメインの校舎です。渡り廊下をくぐり、大通り沿いから校舎の正面へ向かうと・・・・

まさかの工事中。足場に、だらーんと仮の布製ロゴがついています。改装工事中の店舗に「営業中」と書いてあるのと同じ手法です。完全に、「教科書で見たやつ!」と言うつもりで辿り着いた正面は思っていたのと違いました。外壁がかなり傷んでいたので補修しているようです。どなたか、いつか補修後の様子を撮影されたらぜひ見せていただきたいです。

これは模型。


畔柳

Category 海外旅

ドイツのパン

ドイツ旅行記 4

クロワッサンやマフィンでなければ、ドイツのパンは大概表面が固いです。チャバッタも固いし、Roll と書いてディッシュプレートに添えられるパンも固いです。サンマルクで食事中にもらうパンを想像してはいけません。バウハウスの食堂でスモークサーモンとRoll のセットを頼み、Rollにサーモンを挟んで食べましたが、口の中、上顎が大変に傷つきました。反省して2個目のRollはスライスしたRollにサーモンを乗せ、オープンサンドにしていただきました。これが正解です。なお、そもそもサンドイッチとして販売されているものはかぶりつく他ないので、負傷は避けられません。

畔柳

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京都で言うと

ドイツ旅行記 3

海外へ行くと、現地で目的地までの距離感がつかみにくいこと、ないでしょうか。googleマップで検索すれば移動に必要な時間や手段は明確にわかるのですが、マップを自在にズームインアウトするうちに、地点間の距離が長いのか短いのか、よく分からなくなります。紙の地図の縮尺は一定ですが、デジタルな地図のUIには地図としての不動の縮尺が無く、いつも画面の中で相対的に距離や大きさを捉える必要があります。

そこで私は、「京都で言うと」を用います。距離感やスケール感において、自分に実感のある場所に置き換えるのです。
旧友のデュッセルドルフでの住居は、私が宿泊している場所が京都駅前のホテルだとしたら北大路か鞍馬口くらいの場所でした。地下鉄でこちらに来てもらったり、自分が向こうへ行くのに気兼ねの無い距離です。デッサウのバウハウス校舎は二条城の二の丸御殿くらいの大きさでした。あるいは大徳寺の本堂の建物。京都国際マンガミュージアムより少し大きいくらいです。

ちなみに以前訪れたスタンフォード大学の敷地は、京都で言うと賀茂川と高野川と北山通で囲まれる三角エリアほどあります。これは事前に知っておいて本当によかったと思います。日本の大学をイメージしていたら、目的の建屋に辿り着けませんでした。大学構内を移動するために自転車のレンタルは必須です。その時スタンフォードデザインスクールに在学していた知人は「車で大学構内に迷い込んで『どうしてもスタンフォード大から出られないの!』と困っているおばさんを助けた」ことを話してくれました。恐るべき広さ。

畔柳

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オートマティック招き猫

ドイツ旅行記 2

デュッセルドルフでオートマティック招き猫に出会いました。挙げた左手を電動で上下させ、エンドレスに招き続ける招き猫です。お店のショーウィンドウの隅に、かなりの確率でおいてあります。コードはなかったのでおそらく電池式です。

体が金色のもの、銀色のもの、小さいもの、大きいもの、パステルカラーのもの、バイカラーのもの、顔だけスマイルマークにアレンジされているものなど。あらゆるデザインの招き猫がありました。

デュッセルドルフに日本人が多いから日本的なものを置いているのか。でも同じく日本人が多いパリやロンドンで見たことはない。猫が可愛いから飾っているのか。手がじっとしていたら招いている感じがしないから動かしたのか。電動で招き続けることで効果が増すのか。一体なんなの、オートマティック招き猫。

そんな招き猫についての考察が一つ、ホテルに戻って歯を磨いている時に閃きました。

日中訪れたカフェにて、「ドイツでは挙手してはいけない。ヒトラーを思わせるから」と友人が教えてくれました。レストランで店員さんを呼ぶ際には声をかけるか、(漫才のツッコミのように)手を横や下方に出して知らせ、学校の授業では発言の際に(1を示すように)人差し指だけ立てて手をあげたりするそうです。
これです、つながりました。同じ配慮によって、招き猫のポーズが挙手に見えないよう、電動で動かし続けているのではないでしょうか。こんなにも「知らんけど」と続けたくなる仮説はなかなかありません。仮にそうだったとして、モーターで動かして「配慮」してまで多くの店でオートマティック招き猫を置く動機はなんなのか。どのようなニーズがあってあそこまで多くのバリエーションが作られるのか。謎のままです。

などと考えていたら、なんとベルリン国際空港でオートマティック招き猫のソリッドカラータイプが売られていました。一瞬、買わなくてはいけない気がしましたが、堪えました。きっと飾らない。でも、このソリッドカラーなタイプは金や銀のタイプを元にしたリデザインプロダクトのように思えます。日本から伝わる過程でいつ腕が電動化したのか。いや、そもそも日本にもオートマティック招き猫があるのかもしれない・・・という新たな仮説が頭をよぎるのでした。


畔柳

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