OXO アングルドメジャーカップ
一番好きなプロダクトです。
腰をかがめたりカップを持ち上げてメモリを確認する作業、
自然で当たり前で、それが苦労だと認知されていなかった小さな苦労を、軽やかに解決した製品です。
賢く合理的なソリューション、その発想に感嘆します。
2002年ごろに購入しました。
キッチンツールが特集されたデザイン誌で知ったと思います。
画期的な、まさに「デザイン」を体現したような製品だと感じました。
2003年に大学で受けたデザイン方法論の授業で、身の回りの製品のデザインについて説明するという課題に対して、私はこのカップについて記述しました。
担当教官から「題材が良いですね」とコメントをもらい、自分が書いたレポートではなくカップ自体が褒められたことが印象に残っています。
それから20年使い続け、ついに底面にひびが入り、液体がじわじわ漏れてくるようになりました。
2022年に同じものを再び購入しましたが、初代カップを捨てる気になれず一緒に保管しています。
新旧を比較すると、新しいものは
・持ち手がわずかに細く
・指がかりが深く
・数字と文字が太く
なっていました。
20年の間にこんなに微妙なモデルチェンジをしていることに、一体どれだけの人が気づいているでしょうか。
金型を作り直すタイミングで整えたのか、この形状を決めた誰かの思考を想像します。
残念なことに、20年の間にこのアイデアを模倣した安価な商品が次々に発売されました。
多くの人に共感されるものは、唯一無二であり続けることはできないようです。
100円ショップで類似品を見るたびに、OXOのアングルドメジャーカップは「あたりまえ」になったのだなと感慨深いです。
革新的なアイデアが、生活に染み込んで様式になったとも言えます。
畔柳
Category
ブログ