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オートマティック招き猫

ドイツ旅行記 2

デュッセルドルフでオートマティック招き猫に出会いました。挙げた左手を電動で上下させ、エンドレスに招き続ける招き猫です。お店のショーウィンドウの隅に、かなりの確率でおいてあります。コードはなかったのでおそらく電池式です。

体が金色のもの、銀色のもの、小さいもの、大きいもの、パステルカラーのもの、バイカラーのもの、顔だけスマイルマークにアレンジされているものなど。あらゆるデザインの招き猫がありました。

デュッセルドルフに日本人が多いから日本的なものを置いているのか。でも同じく日本人が多いパリやロンドンで見たことはない。猫が可愛いから飾っているのか。手がじっとしていたら招いている感じがしないから動かしたのか。電動で招き続けることで効果が増すのか。一体なんなの、オートマティック招き猫。

そんな招き猫についての考察が一つ、ホテルに戻って歯を磨いている時に閃きました。

日中訪れたカフェにて、「ドイツでは挙手してはいけない。ヒトラーを思わせるから」と友人が教えてくれました。レストランで店員さんを呼ぶ際には声をかけるか、(漫才のツッコミのように)手を横や下方に出して知らせ、学校の授業では発言の際に(1を示すように)人差し指だけ立てて手をあげたりするそうです。
これです、つながりました。同じ配慮によって、招き猫のポーズが挙手に見えないよう、電動で動かし続けているのではないでしょうか。こんなにも「知らんけど」と続けたくなる仮説はなかなかありません。仮にそうだったとして、モーターで動かして「配慮」してまで多くの店でオートマティック招き猫を置く動機はなんなのか。どのようなニーズがあってあそこまで多くのバリエーションが作られるのか。謎のままです。

などと考えていたら、なんとベルリン国際空港でオートマティック招き猫のソリッドカラータイプが売られていました。一瞬、買わなくてはいけない気がしましたが、堪えました。きっと飾らない。でも、このソリッドカラーなタイプは金や銀のタイプを元にしたリデザインプロダクトのように思えます。日本から伝わる過程でいつ腕が電動化したのか。いや、そもそも日本にもオートマティック招き猫があるのかもしれない・・・という新たな仮説が頭をよぎるのでした。


畔柳

Category 海外旅