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海外旅

出汁スープ

ドイツ旅行記 10

今回、ドイツへの往復はANAを使いました。私は飛行機のドリンクサービスのスープが大好きなので、機会があれば必ず頼みます。往路ではこれまでも飲んだことのあるコンソメスープをいただきました。そして復路でスープを頼むと、なんとCAさんが「コーンスープと茅乃舎の出汁スープがございます」とおっしゃるのです。「茅乃舎の」と言うときのCAさんが確実に誇らしげでした。もちろん出汁スープをお願いすると、茅乃舎の大ヒット商品、野菜出汁のスープがやってきました。最高です。その後、配膳の際に先とは別のCAさんに飲み物を尋ねられた時には「塩分を摂り過ぎたら余計に脚が浮腫む・・」と躊躇い、お茶をお願いしたのですが、「茅乃舎のお出汁のスープはいかがですか、人気があるんですよ~」とまた誇らしげに勧めてくれるのです。

売り手の誇りとお客の信頼、まさにブランディングデザイン。そして、心の中で自分の腎臓に謝って2杯目もいただきました。野菜出汁なら、和食にも洋食にも合うし、ヴィーガンの人も飲めるし、機内でのスープにぴったりです。ああ美味しかった。

畔柳

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愛のあるワークショップデザイン

ドイツ旅行記 9

デュッセルドルフの近代美術館K21では子ども向けのアートワークショップを見学させてもらいました。

事前に見学の交渉をしたかったのですが、美術館の問い合わせフォームからメッセージを送ってもエラーで返ってくるばかりなので、やむを得ずアポなし訪問&直接交渉です。突然やって来た謎の日本人に対して美術館の受付の方もワークショップの先生も寛大で、見学を快く受け入れてくださいました。ワークショップは独語で行われましたが、終了後に先生が趣旨について英語で説明してくださりました。

概要
 テーマ:アーティストのように創作してみよう(各回共通)
 時間:1回90分 全6回(見学したのは最終回)
 対象:4~5歳(互いに知り合いではなくこのワークショップのみのグループ)
 内容:今回は段階的な3種の素材による版画制作

通常は創作の前に館内を見学するそうですが、今回は展示入れ替え中で館内にブランクが多かったので省略されました。各回の間に連続性は無く、共通しているのは「アーティストと同じ」というコンセプトで、前回は立体造形だったそうです。今回は5人の子供たちが、スチレンペーパー、既製のゴム版、厚紙とフェルト、と素材を変えて順に版画を制作しました。ワークショップのための部屋には壁際に低い棚がずらりと並び、創作の材料となるあらゆる素材が種類別、色別に整理されています。先生は子供たちに手順を説明し、手本を見せながら創作を促します。
最も印象的だったのは、創作の始めと終わりに皆で輪になって行っていた儀式です。それは創作プロセスをモチーフにした振り付きの歌で、両手を前に出して指をぱらぱらするイントロに始まり、次のように続きます。

 ミュージアムを見よう
 アーティストたちの作品
 彼らは何を考えて
 何を集めて
 何をペイントして
 賞賛を得た
 それはあなたも同じ
 あなたにも拍手が聞こえる

あまりに素敵で、感銘を受けました。参加者のモードを切り替える区切りになると同時に、行うことの全体像、各フェーズの意味を子供にもわかりやすく伝えています。振り付けと歌、身体的な刺激を伴うことで、強く子供達の記憶に残ることでしょう。
もう一つ、ワークショップの世界観を際立たせる工夫がありました。参加者は開催時間に部屋の前に集合し、先生が点呼などをするのですが、先生は子供たちに特定の呪文を言うように告げて一旦部屋に入ってドアを閉めます。そして子供たちが声を合わせて呪文を唱えると、それに応じたかのようにゆっくりとドアが開き、中から先生が顔を出すのです。特別な世界に招き入れられた子供たちは、皆とても嬉しそうでした。
子供達を導く演出、特に指導者の優しい演技は、ドイツまで来ないと見ることができなかったと思います。

畔柳

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キャッシュレスなドイツ

ドイツ旅行記 8

今回ドイツに行くにあたり、保険として2万円分だけユーロに換金しましたが、(2万円がたったの110€にしかならなかった衝撃はさておいて)結果的にはほぼ必要ありませんでした。現金が必要だったのは、ミュージアムのロッカーに入れる1€(戻ってきます)と、ルームメイキングや飲食店でのチップです。なお、チップも事前に伝えればカード決済に上乗せして請求してくれるとか。ただ、友人が連れて行ってくれた小さなレストランは現金のみでしたし、マルクト(市場)では基本的に現金だそうです。メジャーな場所やお店だけに行く場合は、クレジットカードといくつかコインがあれば大丈夫です。現金での換金手数料は高いし、クレカの為替の方が安心です。
使わなかった紙幣はいつかの旅行にとっておくことにして、残っていたコインを使ってデッサウ駅のホームの自動販売機でオレオを買ってみました。なんだか、妙に堅牢なインターフェースです。コインを一枚ずつ、トレイに乗せて押し込みます。下の方にあるしっかりとした指がかりを下げてみると、お釣りが出てきました。部品の金属が分厚い。

ボタンだってシートスイッチなんかありえません、もちろん金属です。そして視界をも遮る金網で守られた商品。「アフォーダンスとタフネスがあればいい」とどこかから声が聞こえたような気がしました。

畔柳

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バウハウスに泊まる

ドイツ旅行記 7

バウハウス校舎に併設され、かつて学生寮として使われていた建物に宿泊することができます。事前にバウハウスのHPから申し込むとすぐにメールが届き返信すれば予約は完了、支払いは現地でOKです。

広いワンルームにあるのはベッドと洗面台、デスク、チェア、キャビネットだけです。かろうじてタオルとコップはありますが、その他のアメニティはありません。自然乾燥させた髪がややボサボサです。トイレと最近リフォームされたであろうピカピカの個室シャワー個室ブース(ふたつ)はフロアごとに共有で一泊55€、前日に宿泊したデュッセルドルフのホテルの3分の1くらいのお値段でした。今回チケット等のアレンジをお願いした旅行代理店の担当者の方に「あの、、このお部屋で、、本当に良いのでしょうか・・?」と心配されたくらい、バウハウスに関心の無い方にとっては簡素すぎて気の毒になるお部屋です。しかしこれこそ真骨頂、キレッキレのプロダクトデザインがたまりません。必要の無いRをつけたら罰せられそうです。食事は、バウハウス校舎の半地下にあるレストラン(AM8:00-PM10:00)が利用可能です。なお、古い建物なのでエレベーターはありません。私は4th floor、つまり5階まで階段でスーツケースを運び上げて息が切れました。

デザインに関心があれば快適な宿泊施設ですが、チェックインだけは手こずりました。旧学生寮でもメインのバウハウス校舎でもなく、その向かい側、渡り廊下でつながった建屋の2階(1st floor)に上がった左奥のオフィスNo.1.47に行く必要があります。予約時のメールに「1.47に来て」とは書いてありましたが、いざ現地に行くとそもそも該当の建物が分かりません。重たいスーツケースを持ったまま右往左往してようやく辿り着きました。これから行かれる方はぜひ知っておいてください。

畔柳

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デッサウバウハウスミュージアム

ドイツ旅行記 6

バウハウスの校舎からデッサウ駅を挟んで反対側にミュージアムがあります。チケットは9€、1階はミュージアムショップとカフェ、2階が展示室です。専用の部屋でワークショップが開催されることもあります。展示室ではバウハウスの教育プログラムの中で制作された作品を見ることができます。実験的な衣装、光を投影する装置、立体造形、色面構成、ポスター、家具、テキスタイルなど。いわゆるデザイン演習の課題はもちろん、指導者たちのデザインした製品もあり、ものすごい物量です。

そのうち、手描きのタイポグラフィなどのグラフィックデザインの演習作品は特に、自分たちが学生の頃に取り組んだものとよく似ていました。ああ、本当にデザイン教育の元祖がここにあって、我々もその知恵を授かって育ったのかと感慨深く思いました。

しかしショックだったのは、かつて教科書で見た平面構成の作品の一部が立体だったことです。キャンバスから半球と針金が出ています。正面からきちっと撮影された写真ではその構造が読み取れませんでした。

展示室ではデザインを専攻しているであろう(おそらく欧州の)学生が何人も、熱心に作品を見たり、英語や独語のガイダンスを聞いています。大抵のものはインターネットで調べられるし、見ることができる時代ですが、実物を直接見ることの重要性を感じると同時に、地域による経験機会の格差を突きつけられました。

1階のカフェでは、広々とした空間でバウハウスらしいプロダクトと共に飲み物やケーキをいただくことができます。素敵なキッズスペース付きです。為替はさておき、他のお店に比べて良心的なお値段でした。
ミュージアムショップには魅力的なものがたくさんあります。バウハウスに関する書籍はもちろん、バウハウス的なもの色々、という感じのセレクトです。書籍は買いすぎると渡航時にスーツケースの重量がオーバーするのと、日本でも入手可能である可能性が高いので慎重に選びます。電気製品もバッテリーが入っていると預け荷物に入れられないのでNGです。長時間吟味し、デザインサンプルとして「これは!」と思うものをいくつか調達しました。

ちなみに、ミュージアムやバウハウス校舎、マスターズハウスなど各所のチケットは9€ですが、2箇所目以降は6€ずつセット購入できるのと、全箇所まとめて25€というチケットもあります。


畔柳

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