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愛のあるワークショップデザイン

ドイツ旅行記 9

デュッセルドルフの近代美術館K21では子ども向けのアートワークショップを見学させてもらいました。

事前に見学の交渉をしたかったのですが、美術館の問い合わせフォームからメッセージを送ってもエラーで返ってくるばかりなので、やむを得ずアポなし訪問&直接交渉です。突然やって来た謎の日本人に対して美術館の受付の方もワークショップの先生も寛大で、見学を快く受け入れてくださいました。ワークショップは独語で行われましたが、終了後に先生が趣旨について英語で説明してくださりました。

概要
 テーマ:アーティストのように創作してみよう(各回共通)
 時間:1回90分 全6回(見学したのは最終回)
 対象:4~5歳(互いに知り合いではなくこのワークショップのみのグループ)
 内容:今回は段階的な3種の素材による版画制作

通常は創作の前に館内を見学するそうですが、今回は展示入れ替え中で館内にブランクが多かったので省略されました。各回の間に連続性は無く、共通しているのは「アーティストと同じ」というコンセプトで、前回は立体造形だったそうです。今回は5人の子供たちが、スチレンペーパー、既製のゴム版、厚紙とフェルト、と素材を変えて順に版画を制作しました。ワークショップのための部屋には壁際に低い棚がずらりと並び、創作の材料となるあらゆる素材が種類別、色別に整理されています。先生は子供たちに手順を説明し、手本を見せながら創作を促します。
最も印象的だったのは、創作の始めと終わりに皆で輪になって行っていた儀式です。それは創作プロセスをモチーフにした振り付きの歌で、両手を前に出して指をぱらぱらするイントロに始まり、次のように続きます。

 ミュージアムを見よう
 アーティストたちの作品
 彼らは何を考えて
 何を集めて
 何をペイントして
 賞賛を得た
 それはあなたも同じ
 あなたにも拍手が聞こえる

あまりに素敵で、感銘を受けました。参加者のモードを切り替える区切りになると同時に、行うことの全体像、各フェーズの意味を子供にもわかりやすく伝えています。振り付けと歌、身体的な刺激を伴うことで、強く子供達の記憶に残ることでしょう。
もう一つ、ワークショップの世界観を際立たせる工夫がありました。参加者は開催時間に部屋の前に集合し、先生が点呼などをするのですが、先生は子供たちに特定の呪文を言うように告げて一旦部屋に入ってドアを閉めます。そして子供たちが声を合わせて呪文を唱えると、それに応じたかのようにゆっくりとドアが開き、中から先生が顔を出すのです。特別な世界に招き入れられた子供たちは、皆とても嬉しそうでした。
子供達を導く演出、特に指導者の優しい演技は、ドイツまで来ないと見ることができなかったと思います。

畔柳

Category 海外旅